弥次さん喜多さん「ゆっくり解説」シリーズ 1
「こんにちは弥次郎兵衛です。」
「喜多八だぜ!」
今回は喜多川歌麿マザコン説について解説していきます!

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10569-546?locale=ja)

どうだい、この絵?

なかなか色っぽいね。誰の絵だい?

江戸っ子なのに知らねえのかい。これが歌麿だよ。

なるほど、なかなかのもんだ。

今、江戸じゃあ美人画の大家と言われてるからなぁ~。

やっぱ、日ごろから、あっちこっちに女を見に行ってるんだろうなぁ。うらやましいや!

ところで、歌麿大先生がマザコンだって説があるんだ。

そりゃ、本当かい?

本当だとも。じゃあゆっくり解説していくよ。
出自不明の歌麿

歌麿の家は元々、絵師の家系なのかい?

いやー、それがよくわからねえんだ。他の浮世絵師は皆、大体わかってるんだけど…
例えば、歌麿のライバルと言われた鳥文斎 栄之(ちょうぶんさい えいし)はれっきとした直参旗本だったんだ。

へ~、お旗本かい。

それにちょっと前に人気があった美人画で有名な鳥居清長は江戸の新場生まれで、親は白木屋っていう本屋だったんだ。そうそう北尾重政も親は本屋だ。

本屋の息子か。まあ、浮世絵師になっても不思議じゃないな。

他にも、鈴木春信は家主、つまり家を貸している大家だったし、勝川春章の親は医者だったそうだ。

ほ~、大体、素性が知れてるんだな。

それなのに、歌麿はいつ生まれ、親は誰で、どこで育ったのか、からっきしわからねえんだ。

まあ、複雑な生い立ちなんだろうな…(察し)
歌麿の胸への関心

話は変わるが歌麿先生は女性の胸を描くのが大好きなんだよね。

まあ、そりゃ、男なら…

いや、他の浮世絵師の春画を見るとわかるんだが、以外に胸ってしっかり描いてないんだよね…

ほんとかい?

ああ、だから歌麿先生の胸に対する並々ならぬ関心がわかるんだ。ある意味、憧れに似たものがあったのかもしれないね。
母子への関心

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10569-607?locale=ja)

また、歌麿は母子像を多く描いていることでも有名なんだ。これなんかそうさ。

ああ、確かにガキがまとわりついてるな

他にもいろいろあるんだ

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10569-2039?locale=ja)

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10569-1960?locale=ja)

なるほど~

こうした母子の姿、特に幼いこどもに歌麿は自分の姿を投影していたんじゃないかと思うんだよ。
おいらの勝手な想像だけど、母親の愛に飢えていたのかもしれないね。
金太郎と山姥

喜多さんは昔話の金太郎の話を知ってるかい?

もちろんさ!頼光四天王の一人、坂田金時の子どもの頃の話だろ。
足柄山のふもとで育って、クマと相撲を取ったりしてたんだっけ。


そう、その金太郎の母親は山姥(やまんば)だったって話だ。いろんな絵師がそれを題材に絵を描いてるんで、ちょっと紹介しておくよ。まずは葛飾北斎の描いた絵だ。

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10569-3405?locale=ja)

金太郎と母親がにこやかに見つめ合ってるね。
次に明治時代に描かれた河鍋暁斎の絵だ。

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10046?locale=ja)

こちらも母親に抱かれてるね。

やっぱり有名な題材なんだな。母の愛を感じるぜ。

次に歌麿の絵をずらっと紹介してみるよ。
因みに、歌麿の金太郎と山姥の絵については「喜多川歌麿の山姥と金太郎」に詳しく書いてるよ。

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10569-1975?locale=ja)

子供の前でタバコ…今じゃアウトだな。

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10569-1969?locale=ja)

子供への耳かきってなんだか愛を感じるよな。

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10569-535?locale=ja)

上目遣いで母の視線を感じていることが分かるね。

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10569-1974?locale=ja)

子供は無表情。母親の無償の愛って感じかな。

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10569-1987?locale=ja)

どの絵も母親の愛情いっぱいって感じだ。自分を金太郎だと思って書いてるっぽいな。

だろ。で、歌麿の胸への関心と母子への関心が合わさったのが次の絵だ。

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10569-1971?locale=ja)

歌麿マザコン説がささやかれるのもわかるだろ?

確かに。だけど家庭環境からくる母親への愛情を絵に込めたんだろうな。
おわりに

じゃあ最後に喜多川歌麿マザコン説が成り立つかどうか考えてみよう。
みんなはどう感じた。マザコン説については賛成、反対、いろいろあると思う。
だけど美人画の大家になった歌麿の中には、こうした母親を求める心があったのは間違いないと思う。
そもそも”マザコン”という言葉は和製英語ではっきりとした定義もないんだ。
だからマザコンだと思ったらマザコンでいいんじゃないかな。

弥次さん、最後、適当に締めたね(笑)
でも、そうした母親を慕う心を芸術に高めたのはやっぱりすごいや!
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