べらぼう 知恵内子(ちえのないし)

狂歌師

狂歌師として著名な元木網(もとのもくあみ)。その妻であり、同じく狂歌師だったのが知恵内子です。

2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう」では、この知恵内子役を水樹奈々が演じています。夫の木網役を演じているのはジェームス小野田です。ジェームス小野田は1959年生まれ、一方、水樹奈々は1980年生まれで、夫婦役の年の差は21年になります。

では、実際の木網と知恵内子の年の差はどうだったのでしょうか?

ここでは、知恵内子について見ていきます。

知恵内子とは

知恵内子の略歴

狂歌師、知恵内子は著名な狂歌師である元木網(もとのもくあみ)の妻で、本名は「すえ」と言います。延享二年(1745年)に生まれ、文化四年(1807年)に60過ぎで亡くなってます。

享保九年(1724年)生まれの夫、木網とは21歳も年が離れていました。ですが、夫が長命だったので、文化八年(1811年)に亡くなった夫よりも早くに世を去りました。

二人の間には娘がおり、娘も狂歌を詠み、幾地内子(いくじのないし)と名乗っていました。

安政の末年までは湯屋を営んでおり、その後、夫と共に芝西久保土器町の落栗庵に隠居しました。

狂歌師としての知恵内子

狂名である知恵内子(ちえのないし)はそのまま「知恵のない子」という意味につながります。これに「内侍(ないし)」をかけているようです。内侍というのは朝廷に仕えた女官で、百人一首にも周防内侍(すおうのないし)や小式部内侍(こしきぶのないし)がいます。「ないし」という名にすることで、女流歌人っぽくしたのでしょう。

天明狂歌界で活躍したのは多くが男性でした。そうした中、少ないながらも女性が活躍しています。その代表が、この知恵内子と朱楽菅江(あけら・かんこう)の妻、節松嫁々(ふしまつのかか)です。共に有名狂歌師の妻として、夫と一緒に狂歌界を盛り上げた点で共通しています。

知恵内子の狂歌

・古今狂歌袋

山姫も 冬ハ氷の はりしこと 瀧つせぬひや とつる布引

・金平子供遊 四方赤良編 千代目画

 とひくるも ひいふうみたり いろ糸の かかる手まりの ともちとりかけ

この句の場面の赤で囲った部分には、「あからさんの会に山の手へまいりましたが、にしのくぼからは、いっそ遠ふございます」と書かれています。これは知恵内子が言ったセリフです。

門下生

門下には以下の人がいます。

よしの葛子(よしのくずこ)

田安家の家臣、山口彦十郎、狂名、山道高彦の妻。小石川連に属しました。よしの葛子という狂名を名付けたのは知恵内子です。

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