べらぼう 丸屋 ていと小兵衛

版元

江戸時代、書肆のメッカとも言える日本橋に店舗を構えていた版元の一つが丸屋小兵衛(まるや こへい)です。丸屋は蔦屋重三郎が躍進する上で大きな意味を持っていました。

2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう」では、丸屋小兵衛役をたかお鷹が演じています。 

また、丸屋小兵衛の娘で、この丸屋の女主人、てい役として橋本愛が出てきます。

この丸屋のていが蔦屋重三郎の妻となる設定です。では史実としてはどうだったのでしょうか。ここでは丸屋の実像を見ていきます。

丸屋小兵衛とは

江戸の地本問屋である丸屋小兵衛は豊仙堂、豊僊堂として知られ、丸小とも号しました。本姓は山本です。

寛延から天明期に日本橋大伝馬町3丁目に店を構え、その後、通油町に移ったと見られています。その後、蔦屋重三郎が丸屋の株を買い取って天明三年に通油町に進出します。

初期浮世絵の版元として知られる同じく山本姓の丸屋九左衛門と関係があると見られていますが、具体的な関係はわかっていません。丸屋九左衛門の店は日本橋大伝馬町3丁目北側中程にありました。

蔦重の妻、丸屋の”てい”は架空の設定

別の記事で蔦屋重三郎の妻について述べていますが、蔦屋重三郎の妻については、いたことはわかっていますが、どういった人物なのかその名前を含めて詳しくはわかっていません。

ですから、蔦重の妻が地本問屋の丸屋の女主人というのも架空の設定です。そもそも”てい”という名の女性が丸屋にいたというのも架空の設定です。

蔦屋重三郎の妻とされる人物が正法寺の過去帳に「錬心妙貞日義信女 文政8年10月11日」と記されており、この”貞”という文字から、妻の名を”てい”としたのではないかと思われます。

いずれにしても、史実的な意味で確かなことは蔦屋が日本橋進出に当たり、丸屋の株を買い取ったということだけです。

丸屋小兵衛の出版物

浮世絵の出版

惶弓勢源氏 鳥居清倍画 版元:丸屋小兵衛

版本の出版

仮名手本忠臣蔵 鳥居清満画 版元:丸屋小兵衛

大鳥毛庭雀 観水堂丈阿作、富川房信画 版元:丸屋小兵衛

コメント